山 行 報 告
2016/3 / 20     八ケ岳・阿弥陀岳南稜        メンバ:内山、早山 記録:早山


【コースタイム】

 (3月20日)
 6:50舟山十字路→7:10南稜取付き→7:30尾根へ→9:15立場岳→9:28青ナギ→10:15無名峰→10:50 P111:00 P211:17 -11:25P3基部→12:102P目→12:45稜線→13:13P413:26阿弥陀岳山頂→14:00御小屋尾根下山→16:10御小屋山→16:30舟山十字路

 

【記 録】

 (3月20日)
 土曜日の天候があまり良くない予報だったため、3/20日帰り山行とした。仮眠した道の駅こぶちざわの上空には星空が広がり好天を期待できそうだ。
 舟山十字路に到着するとすでに車が何台か停めてありテントを張っているパーティーもいた。2パーティーくらいはアイスクライミング目的だろうか。
 ゲートを越え所々凍結箇所した林道を行き、明瞭な阿弥陀岳南稜の看板を見つけ尾根へ取り付く。取り付きはカチカチに凍結しているためここでアイゼンを装着した。尾根に乗ると雪が消えた。
 しばらくはアイゼンを外して歩くが再び雪と氷のミックス状態になりアイゼンを装着。アイゼンの付け外しの判断はなかなか迷う。
 今回一番の核心部だったのではないかと思う立場岳までのひたすらの登り。自分との闘いかのように黙々と歩く。天気も良く暑いくらいだ。前方に先行パーティーがおり、中岳のコルで1泊し明日赤岳を目指すそう。抜きつ抜かれつし、立場岳に到着し一息つく。
 青ナギからは噂の通り素晴らしい展望が開け、見上げる阿弥陀岳の神々しさに思わず息を呑んだ。ここからは赤岳より権現岳が勇ましく見える。
 さらに無名峰への登りが続く。あと一息で南稜の岩峰群に手が届く!
 つい先日阿弥陀岳南稜で雪崩事故が起きてしまったこともあり斜面で弱層テストするのを見せて頂いた。陽射しも強く時間が経つにつれて雪が重くなるのを感じた。
 P1を左に巻き越えたあたりで登攀具、ハーネス等装備を整える。
 P2も左に巻きいよいよ核心に当たるP3の岩峰が目の前に立ちはだかる。P3の基部へ下るトラバースは踏み跡はあるが一歩ずつ慎重に歩いた。
 基部へ到着しルンゼを確認。フリーでも登れそうな状態だったが、最近ここで雪崩ておりロープワークの練習も兼ねて2Pロープを出した。
 1PUさんリード。ビレイしたいが残置ピンなど見当たらない。こういう時にスタンディングアックスビレイを使うことを教えて頂き実践させてもらった。途中リングボルトがある以外は支点を取れるものがなく大岩で1P目終了。
 2P目をリードさせてもらい、稜線に上がる手間の灌木で支点を取る。
 ルンゼに付いた雪質は良くダブルアックスで快適に登ることができた。しかし下を覗き込むとそれなりの斜度があることが分かる。万が一落ちたらこの前来た広河原沢の谷底まで真っ逆さまだろう…
 稜線に上がると再び阿弥陀岳〜赤岳〜権現岳が見渡せる。少しガスがかかってきてしまった。日頃の行いは悪くないはずだからと阿弥陀岳の頂での晴天を祈りながら最後の岩峰へ向かう。
 P4を登れば山頂だ!
 カニのよこばい的なトラバースがあり気を緩めず慎重に歩く。
 阿弥陀岳への最後の急斜面はまるで空へ向かっているみたい。ここだけヨーロッパアルプスの様だとはしゃいでお互い写真を撮りあった。
 阿弥陀岳到着!「阿弥陀岳」の山頂標識はほとんど埋まっており、山頂は無風快晴、360°広がる大展望!実は夏も冬も阿弥陀岳は初登頂だからなお嬉しかった!冬山の山頂でゆっくり過ごせる天候。山の季節も刻々と春へと向かっているのだと感じた。
 中岳のコルからの一般ルートもなかなかの急斜面…すごいな阿弥陀岳!
 摩利支天の岩場を通過し御小屋尾根を下山。これから歩く尾根筋がずっと延びて見渡せるのは楽しい。東面の真教寺尾根や県界尾根と並び長大な御小屋尾根。はじめは急下降だが次第に緩くなる。途中大きな動物の気配を感じ驚いたが、熊ではなかった。本当にほっとした。テント泊装備で御小屋尾根を登ってくる方とすれ違うがすごい根気の持ち主だなと思ってしまう。
 ヘッドランプのお世話にもならず明るいうちに舟山十字路に到着。無事下山出来たことにお礼の気持ちを込め八ヶ岳を後にする。
 阿弥陀岳南稜は冬季バリエーション初心者の練習にはとても楽しいルートだと感じた。

 色々なことを丁寧に教えて頂き、阿弥陀岳南稜のリベンジを計画して頂いたUさん、本当にありがとうございました!